取れたての野菜が今朝も元気くれ

この大地先祖の汗もわが汗も

無理するな言うてくれても手は借れぬ

在り日の夫は薄れず三回忌

母の髪洗う春日の走馬灯

今日の無事先祖に頼み灯をともす

母の味おせちに込めて除夜の鐘

かけっこする月と白雲別世界

無花果に花を開かぬわけを問う

根詰めてひとり仕事のはかどらず

七夕に今なら何をしたためる

伸びた草元気の秘密語らない

元気な中に植えて置こうと牡丹買う

白い手がキャンドル灯す始発駅

胸の内知らずに人は元気と言う

紙雛と小さき幸を分かち合う

掘り出した蛙に詫びて土を盛る

冬木立風のお喋り聞いている

同じ種同じ畑の出来不出来

霜月の月に着せたい衣選る

山に来れば亡夫が居そうな秋の風

夜もすがら虫が添い寝をしてくれる

孫と行く童になった散歩道

百ケ日通院の道事なげに

 智子 作品集